【第4回 クリエーティブな菓子屋の仕事】

『
ドイツやフランスなどの昔からの伝統を本当に守るお菓子を作っていきたいのだったら、仕事だけに力を注いでやっていくのもいいと思うんです。そうすべきなのかも知れません。だけど、僕たちの菓子屋と言う仕事はアーティストじゃないんですけど、新たな「もの」を作り出していくクリエーターの部分があると思うんです。お客様に対しての提案だったりをしていく仕事なのかなと思うんですよ。』とキャトーズジュイエ 白鳥シェフ。
なるほど、〔クリエーター〕の意味を調べてみると
―1 造物主。2 創造的な仕事をしている人。創造者。創作家 とあります。
お菓子屋さんの仕事というのは、お菓子を作ることはもちろんのこと、新しいお菓子をつくったり、昔ながらのお菓子を紹介していったりと、クリエーティブな部分を大きく担っていることに改めて気づきます。
『
そういったクリエーターであるには、仕事ばかりではなくてリフレッシュする時間ももちろん必要だと思うんですよ。自分がいっぱいいっぱいで仕事をしていたら、それだけでやっぱり息が詰まっちゃいますから・・・』
では、白鳥シェフのリフレッシュする方法って何だったのでしょう?
『
それは、好きなことをする時間ですね。私にとってはコンテストだったり・・・』
『
コンテストなんてものは、別にやらなくてもいいものだし、まず好きじゃないと出来ないものだと思うんですよ。』
日々の仕事が終わるのは夜10時〜11時。練習の時間はそれからです。
『
もちろんすきでやっていることですから、仕事とは全く切り離して考えないとだめです。「おつかれさまでした。」の瞬間にあめを炊きはじめるんですよ。終わってから、「何しようかな〜」なんて考えていると、疲れているのでいい案も浮かばないし、「帰って考えてから明日はやろうかな」とか、思い始めちゃうんですよね。そうなってしまうと完成しない。コンテストに作品を完成させることが出来なくなってしまいます。』
そこで白鳥シェフは、『
考える前にやる』そして、『
やりながら考える』―そういうやり方で忙しい仕事を終えてからの練習を続け、数々のコンテストに出展したのだそう。

TVチャンピオン(TV東京系の番組)への出場や、洋菓子業界でのプロのコンクール、国際大会の選考会への出場など・・・
『
いろいろとコンテストに出てきても、あと一歩がいけないんですよ。結果を残せないんです。結果を残すって言うのは、優勝するって言うことですよ。 クープ ドゥ モンドの予選にでて8時間のコンクールを精一杯戦って、これで結果が残せなくても、結果がどうであれコンクールは終わりだな。って自然と思ったんですよね。』

そんなときに舞い込んできた、新丸ビルの出店依頼。
『コンクールでは勝てなかった人にもお店つくりでは勝ちたいなって思ったんです。そういう考え方にシフトしていったんです。コンクールもお店をやるのもおんなじことなんですよね。唯一違うことは、お店の場合はその日からがスタートであり、戦いになっていくということです。「継続すること+進化すること」が大切なんですよ。コンクールのように終わりがないんです。』
キャトーズ・ジュイエTOKYOをオープンするときには、何度も何度も細かいところまでやり直していったんだそう。

『
3年前に越谷店をリニューアルしたときには、忙しい時期だったということもあって、業者さん任せなところが多かったんです。オープンに駆けつけてくれた方からは、そんな風にして出来たお店と自分の顔をみて「お前終わったような顔してるな〜」とか「お前の魂、訴えたいものが全く伝わってこない!」なんて言われたんですよね。 「自分が使えたいことってなんだろう」ということを考えたTOKYO店は、やりがい、たのしさがありましたね。』
『自分の全てのことが、お菓子を中心に広がっていくことが楽しい』という白鳥シェフ。
お店の外観・内装・数々のお菓子から「お客さんに訴える」ことはクリエーティブなこと。
〔職人〕という、自分の技能によって物を作ることする、そして〔クリエーター〕としての創造的な仕事をしていくこと。白鳥シェフの考えるお菓子屋の仕事とはそういうこと。
そんな白鳥シェフに次なる夢を聞いてみました。
『
次の夢ですか? フランボワーズとか、畑に植えたフルーツを摘んで行きながら、1本道を行くとその先にある工場に入っていけるような、そういった環境にしたいですよね。厨房と倉庫とお店と・・・それが一番無駄のない形を考えていきたいなと思っているんですよ。そうやってひっそりとやっていけるようシフトしていくのもいいですね。 と言っても10年後とかの話ですけどね。』
今もキャトーズ・ジュイエさんのサロンと駐車場との間には、いつか畑に植えられる予定のフルーツの樹が植えられています。

『
あんず、プラム、フランボワーズ、ブラックベリー、巨峰・・・自分たちで育ててつんできた素材を使うようになれば、素材を大切に扱うようになると思うんです。また、マジパンやナパージュ、フォンダンなど、自分で作れるものは作って合理的においしいものを作っていきたいと思っています。そうやって作ったお菓子を大切に売っていきたいですね。』
白鳥シェフの夢はまだまだ続いています。
職人として クリエーターとして お菓子を通してどんどん広がっていく夢のこれからが楽しみですね!
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