【第2回 「お菓子大好き」な気持ちのルーツ】
「小さい頃に作ってもらったお母さん手作りのお菓子がおいしくって・・・」
そんな思い出をお持ちの方 たくさんいらっしゃるでしょう。

葛西さんのお母様もお菓子つくりが大好きだったのだとか。
『
そう、50年も前の話ですよ。 私が小さい頃ですから。 ケーキ屋さんもまだあまりなかった時代ですよ。 その頃から母親はお菓子を良く作ってたんですよ。』
葛西さんのご自宅の周りには外国の方が多く、しばしばご近所の方の集まるホームパーティーを開いたりされていたそう。そこでふるまうお料理も含め、お菓子もすべてお母様の手作りだったんですって。
『
マドレーヌとかパウンドケーキだとか、それからフレンチトーストだとか そういうものを母なりに作ってくれていたんですよ。オーブンなんていっても、今のような性能の良いものではなくって、ガス台の上にのせて焼くタイプのものですよ。 お菓子を作っている母はとても楽しそうで、お菓子を作るってとっても楽しいことなんだということを子供のころから体でわかっていたんですよ。 台所中いっぱいに甘い香りがしてね〜。』
楽しそうにお菓子を手作りするお母様の影響を受けて始まった葛西さんのお菓子作りはだんだん、本格的に!?
『
お菓子つくりと言っても、今のようにお菓子のレシピ本もなかったんですよ。』
当時のレシピといえば、「主婦の友」などの雑誌のおまけについているくらいのものだったそう。
『
そういったレシピをとにかく片っ端から作ってみたんですよ。 もう、洋菓子から和菓子からジャンルに関わらず、本に書かれている通りにとにかく作ってみるというのをやりました。 それを繰り返しているうちにね、「私だったらもう少し甘くするな〜」とか「もっとやわらかくしたいな〜」とか、自分の好きな味になるようにレシピを変えてみるようになったんです。』
そうして、自分好みの味を求めるようになってきた葛西さん。
中には、失敗することもあったそうですが、おいしく出来たときの感動はひとしおだったことでしょう。

『
「この味が食べたかったの〜」って成功したときはうれしくなったわ。 そうこう繰り返していくうちに、自分の中のお菓子の位置づけがどんどん高まっていったんです。』
実は葛西さん、お菓子の学校に通っていたわけではありません。 またお菓子屋さんで働いた経験もないのだそう。
全てが、「お菓子つくりが好き」と言う気持ちから発進したこと。
お菓子屋さんを開こうだなんて、少しも考えたことなかったとおっしゃるから驚きです。
『
あるとき、海外に行くチャンスがあって、娘と2人でイギリスやフランス、ウイーンなど色々な国の色々なお菓子を食べてまわったんです。そうして、たくさんのお菓子を食べて、それぞれのお菓子の違いに気が付いていって、「私はこういうお菓子を作りたいんだ」って思うようになったんです。』
そうして「おいしいお菓子を食べてもらいたい」という思いで、お菓子を作っては娘やお友達に食べてもらって・・・・
『
ある時ね 「私の作っているお菓子をおいしいってもっと多くの方に召し上がっていただきたいな〜」って思うようになったんです。それからは、自分のお菓子に合うおいしいコーヒーをひいているコーヒー店を探して、そのお店に私の作ったお菓子を置いてもらうようになって。 それが私のお菓子屋さんとしてのスタートです。』
自宅でお菓子を作っては、コーヒー屋さんに卸す・・・そんな日々を続けているうちにだんだんクチコミで葛西さんのお菓子は広まっていったそう。
そして、いよいよ雑誌で紹介されるとデパートから出店の依頼が来るほどの話題に!!!
『
もちろん自宅のキッチンで作っている程度ですからデパートの出店は出来なかったですけれど。 その後からですね、今度はお客様がどんなお顔ででお菓子を食べてくださっているのかを見たいと思うようになったんですよ。 卸すだけでは、そういうところは分からないですからね。』
そこで『
私のアトリエを持てばいいんだ。』―ようやくお菓子屋さんの道に進むことを夢に動き出した葛西さん。
『
自宅のキッチンの延長でいい 自分ひとりでこつこつお菓子を作れるスペースなら大きくなくってもいいんだから。 ショーケースにお菓子を並べて、お客様がケーキを選ぶときの真剣に悩んでらっしゃる表情だとか、ケーキを買っていくお客様のうれしそうな表情だとか、そういうのお客様の表情を見れるのがとっても楽しみだったんです。』
『
じゃ、アトリエを持つには・・・』

そこから葛西さんの準備が始まります。お菓子の精度をあげて、そのお菓子に合ったパッケージのデザイン、もともと決めてあったお店の名前のロゴをデザインし、カラーを決めて・・・ もちろん、お店の場所を決めることも、厨房機器をそろえることも全て初めてのことばかり。 全てを準備しながら、出展に向けて資本金を貯めて・・・
そうしてオープンしたのは、アトリエオープンに向けての準備をはじめてから10年後のことでした。
『
いろんな方にお世話になって、やっとオープンした小さなアトリエでした。 21年たって、もう今は古くなってしまったけれども、私にとっては今も私を発信する場所ですから、大切なアトリエです。』
“グリオット”のお菓子を食べると、葛西さんがお菓子を楽しく作っている様子や、お菓子が大好きな気持ちが伝わってくるような、“すごくやさしい味”を感じられます。

『
添加物はもちろん使っていませんし、小さなアトリエで作れるお菓子なので少量づつしか作れません。とても地道な作業ですよ。 それでもとっても楽しいんです。 お菓子のこと・お客様のことが好きだからこそ出来る仕事だと思いますね。』と言う葛西さん。
その気持ちが何より、やさしくおいしいお菓子の味を作っていくエッセンスなのでしょう。
“グリオット”がオープンしてからは、お菓子を作るところから接客まで、さらに高校生になる娘さんとの生活。これら全てをひとりで行うことは簡単なことではなかったはずです。ですが、葛西さんのお話からはちっとも大変だったように感じられることはなく、楽しい事のように聞こえてしまうのです。
『
お菓子を作ることも、「ママでいる」ということも全てが私にとって楽しいことなの。娘との出会いがあって、またお客様やいろんな人との出会いが「葛西由利」を作っているのよ。』
そんな風に話おっしゃる葛西さんにとっての大切な空間―“グリオット”のアトリエ―からは、お店で販売するお菓子を発信する以外の、多くのものが発信されています。
葛西さんは“グリオット”のお菓子が好きで“グリオット”に通ってくださるお客様を大切にする一方で また違った展開も楽しく行っています。
お菓子の先生をされたり(キューピー3分間クッキングでの講師姿も素敵でした!)、フードコーディネーター・パーティーコーディネーターとしての活動など・・・
どんどん展開されていった葛西さんの活動と今後のお話を次回ではご紹介していこうと思います。 お楽しみに!
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