【第1回 ロールケーキの中にワラビ餅が!?】
日本では、フランスのパティスリーさながらのお店や、和スイーツのお店、アジアンテイストなスイーツにこだわるお店など、実にさまざまなスイーツと身近に接することが出来ます。
そんな中 和スイーツでもなく、フランス菓子とも言い切れないケーキ ―“ルレ・オ・ワラビ”
わらび餅がはいったロールケーキ。いうまでもなく、スイーツ界にとってセンセーショナルな存在のケーキとなりました。
わらび餅にロールケーキという組み合わせへの驚きもさることながら、そのケーキを作ったのがフランス人パティシエだったということに誰もが驚かれたのではないでしょうか。
―アントワーヌ サントス シェフ。
サントスシェフはフランスでお菓子の修行を積み、日本でお店を開いたパティシエです。
フランス人シェフだからできる、サントスシェフだからできる、そんなお菓子をいただけるサントスシェフのお店。東京都豊島区の“エコール・クリオロ”さんには、シェフのスペシャリテであるチョコレートを使ったケーキ、フランスの洗練されたケーキ、“ルレ・オ・ワラビ”のように和素材などを使ったケーキがショーケースに並びます。また焼き菓子のひとつひとつの、素材使いや形状・食感からもサントスシェフのオリジナリティーあるお菓子の世界に触れることが出来ます。
いったい 日本人である私達をも驚かせるような和素材とフランス菓子の組み合わせの妙に尽きるお菓子の数々はどのようにして生まれてくるのでしょうか。
『日本に来て、はじめて「わらび餅」を食べたとき、その食感が面白くって!フランスではない食感なんですよ、わらび餅って。これは生ケーキにも絶対合うなって食べた瞬間に思いました。』とサントスシェフ。
ケーキづくりをするときにサントスシェフが一番大切にしているという食感。“ルレ・オ・ワラビ”誕生のきっかけはこの食感にあったのです。
とはいえ、わらび餅を食べたのも初めて。作ったことなんてなかったシェフ。
もちろんですよね、フランスにはわらび餅なんてないのですから。
サントスシェフは、わらび餅を作るために、ゲル化剤の工場に行って数日間 現場の方に教えていただきながら日本のゲル化剤の勉強をして、生ケーキにあう食感のわらび餅づくりをはじめたんだそう。
『ゲル化剤なんかもたくさんありすぎてわかんなかったですから。日本には約800種類ものゲル化剤があるんですよ。寒天だけじゃなくって、他のゲル化剤と合わせることでそれだけの種類のものを作っているんだそうです。そして、そのひとつひとつによって食感も違うんですよね。』
そして、ようやく完成した“ルレ・オ・ワラビ”だったのでした。
『私は日本人ではないですからね。日本の食文化の習慣についての知識がないですから。わらび餅だからこうあるべきって言う感覚がないんです。だから、ロールケーキにわらび餅を入れることも、わらび餅をフランボワーズ味にする発想も自由にできたんですよ。』
そんなサントスシェフのお菓子の一番のファンである奥様は、
『シェフは、フランスのパティスリーを基本にしながらも、日本の素材にも興味を持っていろいろととりいれていますね。単に日本の素地を取り入れるのではなくて、日本人から見た和素材の使い方とは違った、フランス人から見た和素材の使い方という形で商品に使っていくのが面白いですね。』 と、おっしゃっていました。
『国の文化によって、考え方もいろいろでしょ。例えば、日本人は甘いお米ってあんまり好きじゃないですよね。フランスでは、牛乳でお米を煮たりすることは当たり前。逆に日本のあんこのように、豆を甘く煮込むなんてことはフランスでは考えられないことです。』
奥様のお話しによると、プライベートでもシェフの日本の文化・習慣にとらわれない発想の場面はたくさんあるのだそう。例えば、お味噌汁を入れる木のおわんをオリーブを入れるのに使ってみたり・・・
そんなサントスシェフだからこそ出来るお菓子の数々は、サントスシェフが「おもしろい」・「表現したい」と感じた食感からインスピレーションが生まれるんだとか。
『ケーキを作るときには、まず何の食感を出したいかを決めます。「サクサク」なのか、「かりかり」なのか、「ふわふわ」、または「クリーミー」など。次にその食感を出したいんだったら、どういう素材を使えばいいのかを考えながら味を決めます。味が決まったらバランスを考えて・・・スポンジのバランスとか、合わせる素材だとか。食感はメリハリをつけて表現できるように。 そこまで決まったらいったん作ってみて試してみます。』
食感から発想の広がるサントスシェフのお菓子。
『同じじゃつまらない』とおっしゃるサントスシェフのお菓子は、“MADE IN JAPAN”でもなく、“MADE IN FRANCE”でもない、“MADE IN SANTOS”。
サントスシェフのお菓子のバックグラウンドにあるフランスと、日本の出会い、そしてサントスシェフの感性によって生み出されたお菓子なのです。
次回はサントスシェフのHISTORY。 今日のサントスシェフを作りだしているものについて、お話を伺いましょう。
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