【第2回 アルカションさんの“カヌレ”の作り方】
フランス ボルドーの伝統菓子“カヌレ”。
「パティスリー マルケ」の先代シェフであり、「ボルドーカヌレ協会」会長を務めた ピエール マルケ氏直伝のままに“カヌレ”を提供してくれるお店―
アルカションさん。
今回は、
アルカションさんの森本シェフに、伝統の“カヌレ”の作り方を教えていただきます♪
『初めて作り方を見たときは、びっくりしたんですよ〜。こんなのない〜!!って。』
それまで、日本でやってきたお菓子つくりの常識を覆すような作り方だったと言う、森本シェフ。どんな作り方だったのでしょうか?
■レシピ
牛乳 1L
タヒチ産バニラ 1/2本
グラニュー糖 500g
薄力粉 150g
コーンスターチ 70g
バター 50g
ラム酒 100g
全卵 2個
卵黄 6個
■作り方
1er*牛乳にバニラの鞘を入れて、火にかけ温め、しっかりバニラの香りを牛乳に移したら、冷ましておきます。(A)
2eme*グラニュー糖と、振るった薄力粉・コーンスターチを合わせて、ほぐした全卵と卵黄を加えます。(B)
3eme*(A)に溶かしバター、ラム酒を加えて(B)に一気に加えてあわせます。
ダマが出来てしまうのですが、とにかく一気に混ぜ合わせます。
周りに飛び散ってしまうので、大切なものは非難しておいたほうがベターです。
シェフ:『ここでの混ぜ方がポイントなんですよ。混ぜすぎて生地に粉のコシが出さないように!』
4eme*ダマを漉して取り除き、一晩置いておきます。(C)

−翌日−
5eme*型にバター・剥離剤などをぬって、(C)を型の9分目までいれて180度のコンベクションオーブンで約60〜70分しっかりと焼いていきます。
6eme*30分ほどたったら、表面が型からちょっと盛り上がってきます。あとはしっかり黒っぽく色づいてくるまで焼き込みます。
7eme*60分ほどたつと、表面の高さも型と同じくらいに落ち着いてきます。もう そろそろ!!焼きすぎちゃうと苦味が出てしまいます。
シェフ:『このくらいの焼き具合がちょうどいいんですよね。』
8eme*焼きあがったら、型から出してグリーユ(網)の上で冷ます。
レシピを見て下さい!砂糖の量が牛乳の1/2も入るんですね、森本シェフ?

『これって、カスターで使う砂糖の量の約2倍なんですよ。多いでしょ。これだけ砂糖の量が多いから、焼きこんでいくと砂糖がキャラメリゼ(キャラメル状に。)してガリッとした外側の食感が生まれるんですよ〜。』
“カヌレ”の特徴であるこの食感のなぞが解けましたか??
ラム酒もたくさん入りますね。
『“カヌレ”といえばラム酒とバニラの香り!これらのどちらかがかけても間抜けな“カヌレ”になってしまいますね。』ですって。
もともと「Pt.マルケ」では、バニラオイルを使っていたそうですが、バニラをより香り高く表現しようと、タヒチ産バニラを使っているそう。ラム酒は、ボルドーの酒蔵で熟成したもの。しっかり焼きこんでいるので、アルコールはすっかりとんで、香りだけが閉じ込められていきます。
ガリッと外側を割ると、中から口の中いっぱいに広がってくる柔らかいラム酒の香りとバニラの香りをキャラメリゼの風味と合わせて味わってください♪

次に、作り方にご注目☆
3emeの混ぜ方。ここに、本物の“カヌレ”の程よいもっちり感のポイントが!
『「パティスリー マルケ」でびっくりしたのは、材料の合わせ方でした。はじめは「こんなあわせ方、見たことない!!」っておどろきましたよ〜。普通だったら、粉・卵・砂糖を合わせたねっちりしたところに液体をあわせるときは、少しづつあわせて伸ばしていくじゃないですか!?ダマとか残らないように、しっかりつないでいって・・・でもムッシュマルケに教わったやり方は一気に合わせて一気に混ぜるんです。周りに牛乳が飛び散っちゃうし、ダマは出来るんですけど、「気にしなくてもいいから混ぜて!!」って言われて。「あぁー、これでいいんだ」って驚きましたよね!』
森本シェフは、かなり驚かれたようですね。
ここで、ダマが出来ないように少しづつあわせていては、どんどん粉のグルテンが出てくるので、出来上がった“カヌレ”は、もっちもちの弾力のあるものになってしまっていたかも知れません!
たとえ、周りに液体が飛び散ったとしても!!ちょうど良いもっちり感を出すにはこのあわせ方しかない!!?

オープン当初から使っているという銅製のカヌレの型。
はじめはピカピカだったけれど、今ではすっかり黒っぽくなっていますが、こういう型のほうが実はいいんだとか!?
『フランスでは、こういう使い込んだ状態を見ると「型がよくなってきた」と言うんです。面白いですよね。焼き上げた“カヌレ”を出したら、乾いた布でしっかり拭いてやり、また次の日使います。黒いですけど、すすではなんですよ。
「型がよくなってくる」と、火の入りもよく、安定してくるし、“カヌレ”の型はずれもいいんですよ。』

こうして焼きあがった“カヌレ”は、その日のうちに食べてくださいね!
ガリッとした食感にもっちりのコントラストが楽しめるのは、焼いたその日だけ!!
『「パティスリー マルケ」でも、うちの店でも、“カヌレ”は焼き菓子とはいえ賞味期限はその日中です。』−と、森本シェフ。
「パティスリー マルケ」の本物の“カヌレ”に出会う前の森本シェフのように、“カヌレ”にイマイチ魅力を感じない人!
アルカションさんの“カヌレ”で本物を味わって見ませんか?
次回は、「本物の“カヌレ”に出会う前の森本シェフ」をご紹介します。
『学生時代、クラスの中でも一番出来なかったほうですよ・・・』
と言う森本シェフですが、今は立派なパティスリーのシェフ。
フランス菓子を崩さず、いろんなお菓子の顔を紹介してくれる森本シェフが出来上がるまでのお話。
お楽しみに♪