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WPTCとは?
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WPTC2008を徹底分析 ---lesson2・2--- 2008年05月16日(金)
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---lesson2・2---
ボンボンショコラ
前回はWPTCの”チョコレート・ボンボン”についてご説明をしてきましたが、2002大会に出場、2004・2006両大会では審査員として大会に携わってきた望月シェフは自身のご経験を通じて”チョコレート・ボンボン”についてどのようなご感想をもたれているのでしょうか。
『コンクール向けのボンボンを作るときに、まず最初に考えることは何ですか?』
−3種類を作るという規定の中で、まず考えるのはデザインや色使いなどそのテーマに合わせた外観です。
例えば、僕の出場した2002年大会のテーマは「サーカス」だったから、ちょっと派手目の色使いをするようにしました。また、2004年大会でチームJAPANが作ったものは全てをバール状に揃えていましたね。ああいったものは審査員が食べやすいし、3種が並んだときのテーマ性なども感じられて良かったと思います。
このように、ピエスのデザインに合わせたり、3種を並べたときのテーマ性を打ち出すことも当然考えなければなりません。
外観が大切と言うのは、審査員は全部を食べてくれるわけではありません。食べたいと思ってもらえるようなフォルムになるよう気をつけます。単に形だけではなくってツヤがなかったり、ブルームが出ていたり、見るからにコーティングが厚いものだったりと言うように、審査に値しないと思われると審査員は試食する量を加減してしまいます。まずは審査員が手にとって、ちゃんとテイスティングをしてもらえるように印象付けなければなりません。
そして、味。
3種類の中に審査員が新鮮に感じる味や香りで「攻め」のものと、逆にクラシックなもの・基本的な「守り」のものをバランスよく取り入れること。どちらも審査員の心に印象を残せるものでなければなりません。1個につき1/3個ほどしか口にしない審査員に印象を深く与えるには、ひと口でもそのチョコレートボンボン全てのおいしさを伝えるような味の組み合わせやフィリングの硬さ、形など、様々なことを考えて3種のボンボンを作りあげていきます。
『店売りのボンボンとコンクール向けのものとで大きな違いはありますか?』
−店売りのものは、製造してから1週間ほどで食べるものから2ヶ月まで賞味期限を設けているものもあります。コンクールにおいては当日もしくは翌日に食べるため、うんとフレッシュなボンボンを作ることができます。日持ちや水分活性に神経質にならなくて大丈夫なので、柔らかいフィリングが使えます。フィリングの硬さや素材において、市販のものよりも冒険することが出来ますしね。例えば、柑橘系のフレッシュな香りは、コンクールならではのフレッシュなおいしさを表現出来るのではないでしょうか。
また、玄人である審査員が食べるわけですから一般に売る商品よりもお酒を多く使ったようなボンボンも出来るでしょうね。
ただ、コンクールでチョコレートボンボンを作るにあたっては時間に限りがありますから、どうしても冷凍を利用したり、寝かしたりする時間を十分にとれなかったりします。やはりチョコレートの場合は少し寝かしたほうが落ち着くというか、安定しますから、そういった時間をとらなくてもいいような作業方法やレシピを作ってを考えなければなりません。また、会場の環境が一定ではないコンクールですから、変化の多い条件や環境の中で対応が出来るような知識や技術・経験が重要です。
前回の大会でチームJAPANが作った“MANI”は、オーソドックスなボンボンだけど、あれは素晴らしかったと思います。柔らかすぎず硬すぎずというフィリングのおいしさに、ローストしたくるみのえぐみもうまく抑えて、香ばしさも素晴らしかった。 1/4食べただけでもかなりあのボンボンのおいしさを伝えることが出来てたんじゃないかな。コンクールの環境・時間内にあれだけのボンボンを仕上げたことはかなり審査員の評価も高かったと聞いています。
『ご自身がWPTCに出場したときに、もっとも苦労した点は?』
−メンバーに恵まれたので僕の場合は特に苦労はしませんでしたが、しいて言うなら金銭面かな。
2002年大会は、チームJAPANとして初めてWPTCの出場だったので、今の様にサポーター企業の方たちからの援助も有りませんでしたので、活動の為の予算は無く何とかやっていったという感じでしたね。
練習する場所なども限られていて、夜中にメンバーの厨房を借りて集まっての練習をしたり、材料を日本から送るとかなり輸送費もかかるので、WPTC大会事務局に手配をしてもらった材料を使うしかなかったり。
アメリカ ラスベガスっていう砂漠の真ん中での大会。もちろん日本と同じ状態の材料が手に入るということは難しい事です。実際、僕らもチョコレートの袋を開けてみたら真っ白で劣化してしまっていたり、フルーツピュレや粉類の品質が違っていたりと、個々の応用力を試される場面がたくさん用意されていました。
私たちの経験から問題点を抽出して、より良い環境でコンクールに挑戦して、そしてよい結果を残して行く為に帰りの飛行機の中で皆で相談をして、チームJAPANのサポートチームを作ろうと言う事になりました。もちろんいろんな苦労はあって当たり前ですが、「1回目よりは2回目」「2回目よりは3回目」と徐々にベターな環境で本戦に挑戦していってほしいと思います。
『さまざまなコンクールを通じて、チョコレート・ボンボンはどのように進化してきましたか?これからはどのように進化していくと思いますか?』
−食材が進化していく中で、特にチョコレート用の色素は多様化したように感じられます。少し前まではメタルの色素等はピエスに使われるくらいでしたが、最近ではボンボンやマカロンにも使われるようになってピエスとボンボンが近いものになってきました。
ビジュアルの部分ではお菓子にはない形やツヤ・色使いでより洗練されたもの、無機質なものになってきているし、味の面では新しい組み合わせやレパートリーが広がり、冷凍技術が向上していくと同時にフレッシュでやわらかいフィリングのボンボンが増えてきました。
最近では、メディアなどでも“チョコレート・ボンボン”が大きく取り上げられたり、多くのコンクールで実績を残してきたショコラティエのボンボンを食べることが出来るようになって、消費者の方にも拘りの味を理解していただけるようになってきました。また、ボンボンはパッケージ商品として高単価なオリジナリティーのある、見た目にも化粧品やジュエリーと同等の価値観を持たせる事の出来るアイティムですから、お菓子とは別な産業とのコラボレーションに使う試みも見られるようになりました。
望月シェフのお話からも伺える通り、チョコレートはパティスリーのどんな仕事よりも科学的な計算が必要になると言えます。
チョコレートという繊細な素材を扱うために、わずか1℃の温度差を気にしながらの作業になるのも同じことで、ガナッシュの乳化とチョコレートの結晶化をしっかりと理解していないと、短時間で3種類の“チョコレート・ボンボン”を仕上げることはできません。
表面のクーベルチュールは薄ければ薄いほうが良いというのが一般的な考えですが、細かいシェフになるとそれぞれのフィリングに応じてクーベルチュールの厚みを調節してチョコレートの味を引き出すこともあるくらいなのですから。
そこまで行くと気温と湿度を感じて、0.1℃単位での作業になるはずです。
なれない会場で、一定しない気温と戦いながら、一粒のボンボンを作る選手の苦労は口では言い表せない状況なのです。
前回大会で日本のチョコレート・ボンボンはフランスに次ぐ2位に入っています。フランスチームは2003年度のMOFショコラティエ フランク・ケストネ氏が担当していましたが、彼と僅差で競り合ったことには大きな価値がありました。
今大会でも、チームJAPANをはじめとして世界各国のトップシェフがどのような“チョコレート・ボンボン”に挑んでくるか見ごたえあるものになるでしょう。
解説:WPTCJAPANオフィス 帝国ホテル東京 望月完次郎氏
文:WPTCJAPANオフィス 上村氏
編集:株式会社アニー 山田
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Posted at 15:00
| '08 WPTC2008とは?
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