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WPTCとは?

WPTCとは?
WPTCとは、2年に1度アメリカで開催されている製菓の国際コンクールです。いわば、お菓子のワールドカップ!
2008年度で4回目を迎え、フランス リヨンで隔年開催されている“クープ・ド・モンド ドゥ ラ パティスリー”と並び、世界のトップパティシエから近年注目を集めているコンクールです。



大会概要について


WPTC2008チームJAPANメンバーは・・・


WPTC JAPANオフィスメンバーの紹介


WPTC 大会結果一覧

WPTC大会の様子

WPTC2008を徹底分析   ---lesson3---     2008年05月27日(火)

---lesson3---
アントルメ 


WPTCではチョコレートのアントルメを一種類作ります。

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アントルメ・ルール
A. 各チームは1種類3台のアントルメを製作しなくてはならない:1台はあめ細工のピエスの中に組み込み、1台は試食用に、もう1台は予備/展示/写真用として準備する。なお、主催者側は、試食用と予備のアントルメ用に、2台のケーキスタンドを提供する。

B. 各チームのアントルメはカットされた際にその断面のうち50%を超えない程度にチョコレートが使用されていなくてはならない。

C. 各アントルメは最低8個に切り分けられなくてはならない。アントルメの形は、その重量が1000〜1200gに収まっていれば、参加者側の選択に任される。

D. 焼き物を含むすべてのアントルメを構成するものはすべて原料の状態から、審査員の面前で作られなくてはならない。
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断面の50%がチョコレートであるというのはとてもあいまいなルールですが、言い方を変えれば「アントルメを食べたときにチョコレートの味が半分、その他の素材の味が半分、両方のバランスよいマリアージュを表現しなさい」ということだと思います。

あるパティシエの方が「フランス菓子とは A+B=C である。」とおっしゃったのを聞いて、とても感銘を受けた覚えがあります。

たとえば、和菓子・和食の場合、ある素材を主となる素材に加えることは、主となる素材を引き立てることを意味します。「マリアージュ」という言葉を使うこと自体、フランス料理・菓子でなければ耳にしません。(「チョコレートとオレンジのウエディング」という表現は聞いたことがありません。)
チョコレートとまったく違う素材をあわせて、ひとつのアントルメを構成することは、現代のパティシエにとってもっとも大切に考えなくてはならないことのひとつであることに違いありません。

チョコレートと副素材の「マリアージュ」を追及するパティシエたちの要望にこたえて、今ではひとつのチョコレートメーカーが同じ70%のダークチョコレートでも数種類のラインナップをそろえ、パティシエが好みに応じてチョコレートを使い分ける、そんな時代になりました。このことは今では当然に思えますが、20年前にはそこまで深く追求した方はいなかったのではないでしょうか。




具体的に今の流行について触れると
-ビターチョコレートのムースが主となる。
-チョコレートとあわさりやすい素材をセンターに使う。
-構成の半分弱がビスキュイである。
-適度にクランチーな食感を加える。
-アントルメにナイフやフォークを入れたときに、ストレスなく、まったく崩れずにカットできる 構成であること。
-仕上げは審査員がカットしやすいようにシンプルにするか、または飾りを取り外ししやすいようにしておく。また、オレンジ風味なのにイチゴを飾ったりするようなことは絶対にしないこと。
などが挙げられます。

チョコレートムースには沢山の種類があって、ガナッシュベース・メレンゲベース・アングレーズベース・パータボンブベース・クレームパティシエールベースなど、挙げるとキリがありません。その中でも今は軽すぎず、重すぎずといった感じのアングレーズベースのチョコレートムースがはやっているように思われます。(ちょっと前はチョコレートの味を前面に出すために、卵の入らないタイプがはやっていた気がします。)
一番やってはいけないことは、ホワイトチョコレートを使ったムースを主とすることです。ホワイトチョコレートにはカカオの固形分はまったくなく、カカオバターしか入っていませんから、「チョコレートの風味」はまったくしないので、「チョコレートのアントルメ」というテーマにおいて、ルールを無視していると思われても仕方ないはずです。






























▲複雑に見えますが、層をうすくすることで冷やし固める時間を短縮する工夫をした作品。





チョコレートに合わさりやすい素材というのは、フランス人パティシエにとっては「当然」のような組み合わせがあります。例えばオレンジ、カラメル、ヘーゼルナッツなどがありますが、実は私たち日本人にとっては、そのような「当然」という感覚がないことが一番のネックだったりします。(「王道の組み合わせ」という言い方もしますね。)例えば、外国の方が温かいご飯に牛乳と砂糖をあわせて食べる、というと日本人にとっては受け入れられないことであるように、世界大会でアジア系のパティシエが、フランス人・その他欧米のシェフにとっては受け入れられない素材の組み合わせ方をしてしまうことは多々あるようです。もちろん、WPTCやクープドモンドのような大会は世界中から集まったシェフが審査員を勤めるのでフランス人の味覚に合わせることは絶対ではないのですが、世界中の人々が食べて納得する味を作るというのはとても難しく、それだけに近年 コンクール向けにアドバイスを行う多くのシェフたちは「すべての人たちが受け入れられるような素材の組み合わせを考えなさい。」と言います。

実際に2002年大会に出場し、昨年のNPTCでは審査員を務めた喜島シェフは、ご自身の選手と審査員と言う2つの立場から“アントルメ”をどうとらえられているのでしょう。


『ご自分がチョコレートのアントルメを作るときに最初に考えることは何ですか?』
−コンクールにおいては、まず最初に「強み」を考えます。「強み」とはそのコンクールなどにおいての戦略的なもので自分は何で勝負しようかというポイントです。何か他の作品との差別化できる部分を大事に考えていきます。差別化といってもいろいろあると思います。一番良いのは誰もが食べたことないすばらしい味で見たこともないデザイン・・・しかし、今の時代そういったものはなかなか生まれないと思って良いと思います。
ですから「今、大きな流行があるから大半の作品はそっちにひっぱられるだろうから流れに背いていこう」といったことも立派な戦略だと思っています。
この明確な戦略が無ければ多少おいしいものを作ってもインパクトに欠けるものとなってしまうことをわかっている人は意外に少ないものです。
そして、決めた戦略に沿って、前記にあったような「A+B=C」 にするのか「Aの後をBが追っかける」のか、その際に舌に味を残すのか香りを鼻に抜くのか・・・と思考錯誤が始まります。



『コンクール向けと一般的に販売するアントルメの違いはありますか?』
−まず大きな違いは食べてもらう量の違いです。お客様に販売する場合はケーキ1個分ぐらい食べていただけるというのが前提になると思いますが、コンクールにおいて審査員が口にするのは1口か2口。せいぜいケーキ1/3個分でしょう。ですから、味の強さが難しい問題になってきます。
昔はコンクールにおいては「1口しか食べないから強めの味に」ということが言われていました。もちろん今でも多少はそれもありますが、あまり強すぎる味にすると「味が強すぎる」といった判断になり危険です。国際コンクールになるともちろんいろいろな国の審査員がいるわけで、味覚も本当に違います。ここでもどう感じてもらうかという「戦略」が大切になると思います。
もうひとつ、経時変化(時間が経つ事によって状態が変わること)についてはある意味、店で売る商品のほうが難しいかもしれません。例えば、ビスキュイにナッツを散りばめて焼き上げて香ばしさを出し、アントルメに組み込んだとしましょう。冷蔵庫やショーケースの中で時間が経過すると他の水分で「香ばしさ」という面は薄れていきますが、コンクールでは試食時間に合わせてある程度「香ばしさ」の加減をコントロールすることができます。硬さについても自分の管理下にある時間が長いので不必要に硬くして触感を犠牲にすることもありません。
もちろんこの時間に合わせてコントロールすることが恐ろしく大変な事は言うまでもありませんが・・・



『チョコレートとあわせる素材で、今お勧めの素材はありますか?』
−特にこれといって現時点で具体的な素材が頭にあるわけではありませんが、イメージで言うとリズム良く順番に口から消えていきながら、何か鼻からぬける香りがそれに調和するみたいな感じです。


『これからコンクールに参加するパティシエたちがチョコレートのアントルメを作る際にもっとも気をつけなくてはならないことはなんですか?』

−先ほどもお話しましたが、まず「明確な戦略が無ければ多少おいしいものを作ってもインパクトに欠けるものとなってしまう。」ということを意識することです。
それと最近審査をして改めて感じた事は、高いレベルの争いで他の作品と比較される時
ちょっとしたバランスの悪さや温度が命取りになるので完成形を極力忠実に再現する意識
をもっと大切にすることですね。特にチョコレートのアントルメは、バランスが崩れると
甘すぎると感じやすい非常にデリケートなケーキです。
昨年のNPTCの試食審査時も「ここ失敗したな」とか、「注意してないな、もっと温
度に気を付ければ点数が上がるのに・・・」という場面がかなりありました。





前回の日本チームの作品は72%のとても個性の強いチョコレートのムースを基本として、カラメルクリームとシナモン風味のダコワーズをあわせ、そこにバランスを取るためにミルクチョコレートのクリームが加えられています。
個人的には、最初に試食をした後に使われたビターチョコレートがとても個性が強いものであることを聞いて、とても驚きました。4−5種類の素材が無理なく合わさり、そして、注意深く食べるとそれぞれの味もしっかりと理解できるというのは、この種のアントルメの理想だったように思います。事実、武藤シェフが作ったアントルメはフランスチームに勝る得点を獲得しました。MOFに勝利した、すばらしい快挙でした。










今大会、チームJAPAN の作品が意識されることは必至です。
残念ながら、今大会にチームフランスは出場しませんが、チームUSAとして2002年大会でチームアメリカを優勝に導いたローラン・ブランラール氏とMOFの称号を持つステファン トレアン氏の2人のフランス人がエントリーしています。
チョコレートの扱いに歴史の深いべルギーやイタリア、スイスの王道の組み合わせの感覚や、アジア系のパティシエが提案してくる組み合わせからなるアントルメは見逃すことが出来ません。




解説:WPTCJAPANオフィス コンラッド東京 喜島立也氏
文:WPTCJAPANオフィス 上村氏 
編集:株式会社アニー 山田




Posted at 18:47 | '08 WPTC2008とは? | この記事のURL
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