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WPTCとは?

WPTCとは?
WPTCとは、2年に1度アメリカで開催されている製菓の国際コンクールです。いわば、お菓子のワールドカップ!
2008年度で4回目を迎え、フランス リヨンで隔年開催されている“クープ・ド・モンド ドゥ ラ パティスリー”と並び、世界のトップパティシエから近年注目を集めているコンクールです。



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WPTC大会の様子

WPTC2008を徹底分析   ---lesson4・2---     2008年06月13日(金)

---lesson4・2---
アントルメ・グラッセ


それでは、早速 WPTC2006でチームJAPAN の味覚部門をメインでご担当された武藤シェフに前回大会でのアントルメグラッセについてお話を伺っていきましょう。


アントルメ・グラッセを作る際に最初に考えることは?前回のアントルメ・グラッセの場合は、アイス・シャーベット・その他のうち、どのパーツから考えて、アイデアを広げましたか?
『まず、“テーマ性に沿ったもの”ということです。前回大会のテーマは「陰・陽」でしたのでアジアンな雰囲気を出したいなと思って、ライチをを使うことを一番初めに決めましたね。ライチをベースに何を合わせるかを考えたときに、前回NPTCを見にアメリカに行った季節はちょうど桃が旬でおいしかったんですよ。それで、ペッシュ・ド・ヴィーニュを合わせることにしたんです。最後にあわせる素材として決めたのが、アーモンド。今までの経験上、種子ものには種子ものを合わせると落ち着く(相性が良い)って言う持論があったので自然とアーモンドを合わせることに決まりましたね。さらに、フランボワーズのゼリーを合わせて・・・ フランボワーズをここに合わせることで、味に切れが出てくるんですよ。全体的にぼやけない、それぞれの味を引き出してくれました。』


普通のアイスクリームやシャーベットを作る場合と、アントルメ・グラッセ用に作る場合とでレシピにどのような違いがありますか?
『これは一概にはいえないですね。普通のアイスクリームやシャーベットは、それぞれのものひとつを食べておいしければそれでいいですよね。ですが、WPTCの規定にあるアントルメ・グラッセは、アイスクリームもシャーベットも機械を回したものではない冷菓(武藤シェフのアントルメグラッセではムース・グラッセでした。)も生地も・・・全てを合わせておいしく感じられるものにしなければなりませんよね。ひとつひとつを食べておいしいものを合わせても、アントルメグラッセとしてはおいしいものではないんですよ。素材同士の「味のバランス」・「量」・「口どけ」・「食感」、これら全てのバランスがベストでなければおいしいものではないんです。また、例えばアーモンドの味をもっと出したいと思ったときに、味を濃くするのがベストなのか、量を増やせばいいのか、それには様々な手段があるんですよ。安定剤の量だったりもそのひとつです。 アントルメ・グラッセを作るには、本当に様々な手段を選択しながら、おいしいバランスを見つけだしていかなければなりません。自分の今までの経験から手探りでそのポイントを見つけ出す中では、予期せぬ失敗もありましたし、また反対においしいポイントへの手ががりを発見することもありました。 実際、1g単位で様々 微調整しながらレシピを作っていきましたね。』



もっとも美味しい状態で試食をしてもらうために、冷凍庫から出した状態のアントルメ・グラッセはどのように温度を調節しましたか?
『それには形もポイントになってきますね。 審査員に試食を出すときに、カットするのですが、規定にもあるように最低8個に切り分けられなくてはならないんです。その、8カットにしたときに、審査員が食べるはじめのひと口をおいしいものにしなきゃいけない。そのひと口めをどれだけいい状態で出せるかが重要です。食べてもらうときのおいしい温度帯を見つけることが、まず一番はじめの仕事です。 

前回は、いろいろと調整した結果、−11度〜−12度が一番いい状態。
つまり、おいしく感じる温度でしたね。 
その温度に調整することが次の仕事です。 前回の場合はグラサージュヌートルをかけて仕上げた状態で発泡スチロールのケースに入れました。こうすることで、ゆっくりと温度を上げていくことができるんです。ゆっくり温度を上げていくことで全体を均一に解凍をすることが出来ます。 前回はドームの形で作りましたが、急に解凍されてしまうと、中心部分だけ硬い状態のままになってしまいますよね。審査員の方には8カットしたものが運ばれます。このとき、中心部分を初めのひと口として食べるわけですから、こういった状態では審査員においしいと感じてもらうことはできません。 また、ゆっくり解凍するのであれば、冷蔵庫でもいいのかも知れませんが、大会の場合は冷蔵庫の開け閉めも頻繁になるので、庫内温度が安定せず、温度調整も安定しないですからね。』



安定剤の使い方について、注意点はありますか?
『アントルメ・グラッセを作るとき弾力性や、保型性、常型性というものも大切な要素です。先ほども少し触れましたが 出したい味の調整にも安定剤の量が関係してきます。合わせるものによって、量によって安定剤の量を調整します。
安定剤を増やすことによってなめらかな口どけに出きたり、弾力性を出したり、粘質性をだしたりできます。安定剤を増やすと、保型性が出るため冷却・攪拌している間に空気を含みます。その分同じ量を合わせたときの味が出にくくなってしまうのですが。
また、これらは安定剤だけによって調整できるものではなく、糖度と安定剤の加減が影響してくるのです。味をしっかり出したいときには、糖度をしっかりつけてやることが必要です。前回、アントルメ・グラッセを作ったときにはアーモンドの味をしっかりと出したかったので、入れられる最大の量の砂糖を入れて糖度をしっかりつけました。それで、ズバッとアーモンドの味を出すことが出来たんですよ。糖度をあげることで、味を強調することもでき、さらになめらかさや粘性もだせるので、より味を感じやすくなるんです。 アントルメグラッセをどういう風に食べさせたいか。どういう味の順番に感じてもらいたいかを考えて、糖度や安定剤の量の微調整をしなくてはいけません。
どんな安定剤を選ぶかもポイントですね。私の場合はいつも使い慣れているもの1種類で全てを作りましたが。 
そして、糖度や安定剤で味やなめらかさ、弾力性のバランスを見つけたら、おいしい温度も変わってしまうのでこちらも調整が必要になります。他のお菓子も同様ですが、中でもアントルメ・グラッセはおいしい状態のものを作りあげるためには本当に様々な要素がそこにあります。 こうして言葉で説明しきれないくらいに・・・ 
私は前回大会で作ったアントルメ・グラッセを完成させるまでに、半年近くかかったのですから。』



武藤シェフは試作を重ねる中で、毎回 その味をチェックしていた加藤代表に糖度の少しの変化に気づき、「なめらかさがよくなった」と声をかけられたことが印象的だったのだそう。


1gの微調整をしながらの試作で、その変化にいち早く気づく加藤代表の味覚の正確性・・・
加藤代表は第1回目のWPTCから続けて味覚の審査をしてきた方です。 審査員の味覚の正確性・緻密性は全く特筆すべき事だと感じます。

とはいえ、武藤シェフが作ったアントルメ・グラッセは、おそらく、万人が食べたときにその多くの人が頭で考えることなく素直においしいと感じるものと言うことが出来るでしょう。本当のおいしさを伝えるとき、説明や理屈は必要ないということを実感したことを記憶しています。
WPTCでの味覚の審査は大変シビアなものでもあるのですが、大会用、審査員用というだけにとどまらない 本当のおいしさの追求なのではないでしょうか。
今大会において、味覚部分を担当される和泉シェフも 現在試作を重ねています。
様々な選択をしながら、どのようなものを作り上げていくのか・・・チームJAPANの作品に世界中のトップパティシエたちが注目していることでしょう。




解説:WPTCJAPANオフィス ザ・リッツ・カールトン東京 武藤修司氏
文:WPTCJAPANオフィス 上村氏 
編集:株式会社アニー 山田






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